成瀬巳喜男監督のメロドラマ(乱れ雲、乱れる)
放映順ではないけれど、偶然、『乱れ雲』、『乱れる』の順にみたせいか、すっごく共通した部分と(タイトルも似てるけれど、相手役が加山雄三で、禁断の関係、ってあたりが一緒)違う部分が垣間みえて、なかなかに興味深かったです。

e0080345_17386.jpg乱れ雲
成瀬監督には珍しい、カラー作品。遺作だそうです。とにかく、司葉子が美しくて美しくて… 女性の目から見ても、思わずドキドキ。一種、独特の芳香と雰囲気に魅せられることしきり。

不慮の事故とはいえ、交通事故の加害者と、その被害者の未亡人が反発しながらも、惹かれあうオハナシ… 双方、実に「たたずまいが端正」なだけに、逆にメロドラマ的な緊張感が盛り上がります。

(実際、こんな美人の未亡人がいた日には、誰も放っておかないってば)


e0080345_17131927.jpg乱れる
こちらも、やはり相手は未亡人。高峰秀子と、義理の姉弟という間柄… その積年の思慕の念ゆえに、屈折して、つい、青春のヤンチャに走る… ってあたり、ご愛嬌?!

(ナンパなことしまくっても、全然、ナンパに見えないところが、良くも悪くも、彼の持ち味ですね)

メロドラマでありながら、大型スーパーの進出に生活を圧迫されて… ってあたりのディテールのとりいれかたに、なにやら『ギルバート・グレイプ』を連想させます。やはり名匠は、恋愛を描いても、つねに“時代の風”を忘れない… ってあたり、さすが!です。

思えば、この時期の加山雄三といえば、若大将シリーズで人気絶頂!だったそうですが、その大ヒットもさることながら、考えてみると黒澤監督の『赤ひげ』で、ワカゾー君として、実にいい役もらってるし、このような作品にまで出られて「なんて恵まれた俳優人生なんだっ!」と驚いてしまったのでした。改めて、芸能人には運も不可欠、と言われる理由を痛感。

でも、この時期の加山雄三って、まぶしいほどのピッカピカの若さと笑顔… 今でいうなら、さながらトム・クルーズ的オーラでしょうか? それゆえ、よけいに、対比効果で(?)道ならぬ恋が雰囲気に盛り上がる… ってあたり、ちょっとエンターテイメント的なツボを見たような気がしたのでした。

“相手女優の魅力をひきだす”ってのも、ひとつの大きな俳優の条件であるのを実感。勘所は微妙に違えど、(加山雄三に、ダメ男は、ちょっとキビシイかもしれなひ…)父君、上原謙の資質をしっかとうけついでるのも、ちょっと面白い部分ですね。
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by noho_hon2 | 2005-09-28 17:23 | 映画 | Trackback(5) | Comments(5)
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Commented by Ken-u at 2005-10-03 11:52 x
noho_honさん、おじゃまします。
高峰秀子はもちろん素晴らしかったんですが、司葉子も負けてはいませんでした。より現代的な容姿と、あの表情、視線が目に焼きついています。30歳になってからの方が美しい人で、そのあたりが成瀬監督の好みだったのかもしれません。
Commented by noho_hon2 at 2005-10-03 16:41
Ken-uさん、こんにちわ。Ken-uさんセレクトのおかげで、ものすご~く胸をなでおろしました。同時に、同感同感… 作品的な評価は、高峰秀子側が高かったみたいですが、私は結構。司葉子の女優力と映像的な美しさでもって、『乱れ雲』、とても好きな作品です。
Commented by oh_darling66 at 2005-10-15 18:33

**noho_hon2さん、こんにちはー

初めて御挨拶にお伺いしました、

先だっては、成瀬巳喜男でのTBの行き来が叶い、また、当方にコメントを頂きましてありがとうございます!

お返事が遅くなったこと、お許しくださいm(_ _)m

◇『乱れ雲』

>とにかく、司葉子が美しくて美しくて… 女性の目から
>見ても、思わずドキドキ。一種、独特の芳香と雰囲気に
>魅せられることしきり

noho_hon2さんの言葉に、あの、成瀬映画最終作に在るヒロイン・由美子の尽きせぬ魅力がよく反映されていると思います、うん、男性、女性いずれの目から見てもあの美しさには相当にね…静かにドキドキしますよね(^^)、

この遺作の司葉子は何との比較ではなく綺麗ですよね...

(………余韻^^………)

>“相手女優の魅力をひきだす”ってのも、ひとつの大きな
>俳優の条件であるのを実感。

まったくですねぇ、

>勘所は微妙に違えど、(加山雄三に、ダメ男は、ちょっと
>キビシイかもしれなひ…)父君、上原謙の資質をしっかと
>うけついでるのも、ちょっと面白い部分ですね。

あぁ、卓見だなぁ...

<続く>
Commented by oh_darling66 at 2005-10-15 18:35
上原謙は本当にメロドラマへの納まり具合が見事な映画スターでしたね、
多くのメロドラマ的映画に在る上原謙演じる夫役は、綺麗な奥さんと結婚しながらも、彼自身の家庭内での無気力さ(―外面は大概良いんですよね^^)やだらしなさが、家庭内、夫婦生活に倦怠ムードを作ってしまう…、

こういった妻からして張り合いの無い夫を演じる上原謙はいつも妙味ですねぇ、

そして、矢張り、不意に浮かべる屈託の無い笑顔が素晴らしいなぁ…と、いつも映画中の上原謙を見ていて思います、
この笑顔こそが、(―例えば『めし』などをイメージしながら言いますと、)妻に取っては、日頃だらしなく、張り合いの無い夫なのに、最後には「許せてしまう」という部分での説得性に繋がっている最たるものにすら思えもします…、

こんな部分、息子の加山雄三も美質として十二分に(^^)引き継いでいますよね、

***

noho_hon2さん、

これからも、こちらのエントリーをあちこち拝読したく、
先刻、exblog的(^^)リンクを貼らせて頂きました、

また、当方にもいつでもお気軽に遊びにいらしてください、
今後とも宜しくお願いいたします!
Commented by noho_hon2 at 2005-10-16 06:32
oh_darling66さん、こんにちわ。じつはTBで御縁がありまして以来、ずっと遊びにいかせていただいてるんですよ(^。^*)。丁寧なコメントと配慮、本当にありがとうとざいました。上原謙の、いろいろな意味での役者力!みたいなもの、本当に素晴らしいですよね。特に軸となる登場人物に、その作品の成果がかかってる時、本当に、それがよく分かります。これからも、どうぞ、よろしくお願いしますね
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