2005年 09月 28日
成瀬巳喜男監督のメロドラマ(乱れ雲、乱れる) |
放映順ではないけれど、偶然、『乱れ雲』、『乱れる』の順にみたせいか、すっごく共通した部分と(タイトルも似てるけれど、相手役が加山雄三で、禁断の関係、ってあたりが一緒)違う部分が垣間みえて、なかなかに興味深かったです。
乱れ雲
成瀬監督には珍しい、カラー作品。遺作だそうです。とにかく、司葉子が美しくて美しくて… 女性の目から見ても、思わずドキドキ。一種、独特の芳香と雰囲気に魅せられることしきり。
不慮の事故とはいえ、交通事故の加害者と、その被害者の未亡人が反発しながらも、惹かれあうオハナシ… 双方、実に「たたずまいが端正」なだけに、逆にメロドラマ的な緊張感が盛り上がります。
(実際、こんな美人の未亡人がいた日には、誰も放っておかないってば)
乱れる
こちらも、やはり相手は未亡人。高峰秀子と、義理の姉弟という間柄… その積年の思慕の念ゆえに、屈折して、つい、青春のヤンチャに走る… ってあたり、ご愛嬌?!
(ナンパなことしまくっても、全然、ナンパに見えないところが、良くも悪くも、彼の持ち味ですね)
メロドラマでありながら、大型スーパーの進出に生活を圧迫されて… ってあたりのディテールのとりいれかたに、なにやら『ギルバート・グレイプ』を連想させます。やはり名匠は、恋愛を描いても、つねに“時代の風”を忘れない… ってあたり、さすが!です。
思えば、この時期の加山雄三といえば、若大将シリーズで人気絶頂!だったそうですが、その大ヒットもさることながら、考えてみると黒澤監督の『赤ひげ』で、ワカゾー君として、実にいい役もらってるし、このような作品にまで出られて「なんて恵まれた俳優人生なんだっ!」と驚いてしまったのでした。改めて、芸能人には運も不可欠、と言われる理由を痛感。
でも、この時期の加山雄三って、まぶしいほどのピッカピカの若さと笑顔… 今でいうなら、さながらトム・クルーズ的オーラでしょうか? それゆえ、よけいに、対比効果で(?)道ならぬ恋が雰囲気に盛り上がる… ってあたり、ちょっとエンターテイメント的なツボを見たような気がしたのでした。
“相手女優の魅力をひきだす”ってのも、ひとつの大きな俳優の条件であるのを実感。勘所は微妙に違えど、(加山雄三に、ダメ男は、ちょっとキビシイかもしれなひ…)父君、上原謙の資質をしっかとうけついでるのも、ちょっと面白い部分ですね。
乱れ雲
成瀬監督には珍しい、カラー作品。遺作だそうです。とにかく、司葉子が美しくて美しくて… 女性の目から見ても、思わずドキドキ。一種、独特の芳香と雰囲気に魅せられることしきり。
不慮の事故とはいえ、交通事故の加害者と、その被害者の未亡人が反発しながらも、惹かれあうオハナシ… 双方、実に「たたずまいが端正」なだけに、逆にメロドラマ的な緊張感が盛り上がります。
(実際、こんな美人の未亡人がいた日には、誰も放っておかないってば)
乱れる
こちらも、やはり相手は未亡人。高峰秀子と、義理の姉弟という間柄… その積年の思慕の念ゆえに、屈折して、つい、青春のヤンチャに走る… ってあたり、ご愛嬌?!
(ナンパなことしまくっても、全然、ナンパに見えないところが、良くも悪くも、彼の持ち味ですね)
メロドラマでありながら、大型スーパーの進出に生活を圧迫されて… ってあたりのディテールのとりいれかたに、なにやら『ギルバート・グレイプ』を連想させます。やはり名匠は、恋愛を描いても、つねに“時代の風”を忘れない… ってあたり、さすが!です。
思えば、この時期の加山雄三といえば、若大将シリーズで人気絶頂!だったそうですが、その大ヒットもさることながら、考えてみると黒澤監督の『赤ひげ』で、ワカゾー君として、実にいい役もらってるし、このような作品にまで出られて「なんて恵まれた俳優人生なんだっ!」と驚いてしまったのでした。改めて、芸能人には運も不可欠、と言われる理由を痛感。
でも、この時期の加山雄三って、まぶしいほどのピッカピカの若さと笑顔… 今でいうなら、さながらトム・クルーズ的オーラでしょうか? それゆえ、よけいに、対比効果で(?)道ならぬ恋が雰囲気に盛り上がる… ってあたり、ちょっとエンターテイメント的なツボを見たような気がしたのでした。
“相手女優の魅力をひきだす”ってのも、ひとつの大きな俳優の条件であるのを実感。勘所は微妙に違えど、(加山雄三に、ダメ男は、ちょっとキビシイかもしれなひ…)父君、上原謙の資質をしっかとうけついでるのも、ちょっと面白い部分ですね。
by noho_hon2
| 2005-09-28 17:23
| 映画
|
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Comments(5)
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from 太陽がくれた季節
at 2005-09-30 17:48
タイトル : ■ブログな世界・第2回(その1「成瀬巳喜男など映画篇」)
こんばんは~、 昨秋以来、映画に於いても、Rock、Popsに於いても、 その道楽(―失礼(^^))探究の一途さに於いて私めと資質の似た方たち(―実は、情熱に於いても実績に於いても僕なんぞを凌ぐ、その道名うての方たちです)とウェブ上でも私的にもお付き合いをさせて頂き、僕がこれまで接してきたもの、新たに接しているものが、これまでも良いと思えていたものは僕の中でより豊かに広がり出し、一見つまらぬシロモノに思える映画やら音盤(^^)であってもそれなりに価値を見い出せるように為っています。 ...... more
こんばんは~、 昨秋以来、映画に於いても、Rock、Popsに於いても、 その道楽(―失礼(^^))探究の一途さに於いて私めと資質の似た方たち(―実は、情熱に於いても実績に於いても僕なんぞを凌ぐ、その道名うての方たちです)とウェブ上でも私的にもお付き合いをさせて頂き、僕がこれまで接してきたもの、新たに接しているものが、これまでも良いと思えていたものは僕の中でより豊かに広がり出し、一見つまらぬシロモノに思える映画やら音盤(^^)であってもそれなりに価値を見い出せるように為っています。 ...... more
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from BLOG IN PREP..
at 2005-10-03 11:46
タイトル : 成瀬巳喜男特集のまとめ
生誕100周年を記念して放送された、NHKの成瀬巳喜男特集。たしか24本の作品が放送されたと思う。そのうち10本以上の成瀬作品を、ぼくは鑑賞したことになる。これほど集中して、同じ作家の作品を鑑賞したのは初めてだったけど、とてもいい経験になった。夢中になってしまった..... more
生誕100周年を記念して放送された、NHKの成瀬巳喜男特集。たしか24本の作品が放送されたと思う。そのうち10本以上の成瀬作品を、ぼくは鑑賞したことになる。これほど集中して、同じ作家の作品を鑑賞したのは初めてだったけど、とてもいい経験になった。夢中になってしまった..... more
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from 自主映画監督のBlog
at 2005-10-21 01:24
タイトル : 稲妻
皆さん、今晩は。 ただいま公開中、東京国立近代美術館フィルムセンターで催されている生誕百年特集 映画監督 成瀬巳喜男の『稲妻』を見て来ました。 映画監督を志しながら、フィルムセンター初来場のワタクシ。。。 いきなり、若尾文子がお出迎え・・・チャー....... more
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from 万歳!映画パラダイス〜京..
at 2006-01-29 21:04
タイトル : 「流れる」〜圧巻の6大女優共演
風邪がなかなか治らない。せっかくの週末というのに、マンションから一歩も出られずに、ゴロゴロして過ごす。気力がないのだ。チャン・イーモウ監督、高倉健主演の「単騎、千里を走る」など観たい映画はたくさんあるのに。そこで、やむなくNHKBS2でやっていた成瀬巳....... more
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from 邦画ブラボー
at 2006-04-27 20:40
タイトル : 「乱れ雲」
夫を轢いた男(加山雄三)との愛に苦しむ未亡人を 司葉子が熱演している。 幸せいっぱいの新妻だった由美子(司葉子)の生活は 交通事故によってずたずたにされてしまう。 夫(土屋嘉男)は即死。妊娠していた子供も中絶し、 義姉(森光子)がしきっている十和田湖の旅館で再出発することに。 だけどひょっこり、同じ土地に赴任してきた加山と再会する。 憎いはずの男をいつのまにか愛し始めてしまい 自分を責める由美子。 武満徹の叙情的な音楽が切ない。 この映画は司葉子と武満徹の映画であった。 と、いいますのも加...... more
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noho_honさん、おじゃまします。
高峰秀子はもちろん素晴らしかったんですが、司葉子も負けてはいませんでした。より現代的な容姿と、あの表情、視線が目に焼きついています。30歳になってからの方が美しい人で、そのあたりが成瀬監督の好みだったのかもしれません。
高峰秀子はもちろん素晴らしかったんですが、司葉子も負けてはいませんでした。より現代的な容姿と、あの表情、視線が目に焼きついています。30歳になってからの方が美しい人で、そのあたりが成瀬監督の好みだったのかもしれません。
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noho_hon2 at 2005-10-03 16:41
Ken-uさん、こんにちわ。Ken-uさんセレクトのおかげで、ものすご~く胸をなでおろしました。同時に、同感同感… 作品的な評価は、高峰秀子側が高かったみたいですが、私は結構。司葉子の女優力と映像的な美しさでもって、『乱れ雲』、とても好きな作品です。
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oh_darling66 at 2005-10-15 18:33
**noho_hon2さん、こんにちはー
初めて御挨拶にお伺いしました、
先だっては、成瀬巳喜男でのTBの行き来が叶い、また、当方にコメントを頂きましてありがとうございます!
お返事が遅くなったこと、お許しくださいm(_ _)m
◇『乱れ雲』
>とにかく、司葉子が美しくて美しくて… 女性の目から
>見ても、思わずドキドキ。一種、独特の芳香と雰囲気に
>魅せられることしきり
noho_hon2さんの言葉に、あの、成瀬映画最終作に在るヒロイン・由美子の尽きせぬ魅力がよく反映されていると思います、うん、男性、女性いずれの目から見てもあの美しさには相当にね…静かにドキドキしますよね(^^)、
この遺作の司葉子は何との比較ではなく綺麗ですよね...
(………余韻^^………)
>“相手女優の魅力をひきだす”ってのも、ひとつの大きな
>俳優の条件であるのを実感。
まったくですねぇ、
>勘所は微妙に違えど、(加山雄三に、ダメ男は、ちょっと
>キビシイかもしれなひ…)父君、上原謙の資質をしっかと
>うけついでるのも、ちょっと面白い部分ですね。
あぁ、卓見だなぁ...
<続く>
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oh_darling66 at 2005-10-15 18:35
上原謙は本当にメロドラマへの納まり具合が見事な映画スターでしたね、
多くのメロドラマ的映画に在る上原謙演じる夫役は、綺麗な奥さんと結婚しながらも、彼自身の家庭内での無気力さ(―外面は大概良いんですよね^^)やだらしなさが、家庭内、夫婦生活に倦怠ムードを作ってしまう…、
こういった妻からして張り合いの無い夫を演じる上原謙はいつも妙味ですねぇ、
そして、矢張り、不意に浮かべる屈託の無い笑顔が素晴らしいなぁ…と、いつも映画中の上原謙を見ていて思います、
この笑顔こそが、(―例えば『めし』などをイメージしながら言いますと、)妻に取っては、日頃だらしなく、張り合いの無い夫なのに、最後には「許せてしまう」という部分での説得性に繋がっている最たるものにすら思えもします…、
こんな部分、息子の加山雄三も美質として十二分に(^^)引き継いでいますよね、
***
noho_hon2さん、
これからも、こちらのエントリーをあちこち拝読したく、
先刻、exblog的(^^)リンクを貼らせて頂きました、
また、当方にもいつでもお気軽に遊びにいらしてください、
今後とも宜しくお願いいたします!
多くのメロドラマ的映画に在る上原謙演じる夫役は、綺麗な奥さんと結婚しながらも、彼自身の家庭内での無気力さ(―外面は大概良いんですよね^^)やだらしなさが、家庭内、夫婦生活に倦怠ムードを作ってしまう…、
こういった妻からして張り合いの無い夫を演じる上原謙はいつも妙味ですねぇ、
そして、矢張り、不意に浮かべる屈託の無い笑顔が素晴らしいなぁ…と、いつも映画中の上原謙を見ていて思います、
この笑顔こそが、(―例えば『めし』などをイメージしながら言いますと、)妻に取っては、日頃だらしなく、張り合いの無い夫なのに、最後には「許せてしまう」という部分での説得性に繋がっている最たるものにすら思えもします…、
こんな部分、息子の加山雄三も美質として十二分に(^^)引き継いでいますよね、
***
noho_hon2さん、
これからも、こちらのエントリーをあちこち拝読したく、
先刻、exblog的(^^)リンクを貼らせて頂きました、
また、当方にもいつでもお気軽に遊びにいらしてください、
今後とも宜しくお願いいたします!
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noho_hon2 at 2005-10-16 06:32
oh_darling66さん、こんにちわ。じつはTBで御縁がありまして以来、ずっと遊びにいかせていただいてるんですよ(^。^*)。丁寧なコメントと配慮、本当にありがとうとざいました。上原謙の、いろいろな意味での役者力!みたいなもの、本当に素晴らしいですよね。特に軸となる登場人物に、その作品の成果がかかってる時、本当に、それがよく分かります。これからも、どうぞ、よろしくお願いしますね