萌の朱雀 |
かなり、賛否両論。褒める人は徹底的に褒め、けなす人は「料金、返せ」に怒ってましたが、それでこその佳作に感じました。
ピアノの旋律が美しいBGMを最小限度に抑え、なるべく自然の音と気配を活かして魅せる、奈良の田舎風景が美しいです。
20代の新人監督だった、河瀬直美の感受性と、田村正毅のカメラワークがアッパレでした。
河瀬直美監督、カンヌ国際映画祭でのカメラ・ドール(新人監督賞)を史上最年少受賞、および、ロッテルダム国際映画祭国際映画批評家連盟賞を筆頭に、数々の受賞、おめでとうございます
(解説)
ふるさとを愛する気持ちとは裏腹に、離ればなれになって暮らすことを余儀なくされてしまう一家の様子をつづったドラマ。監督・脚本は「かたつもり」の河瀬直美。本作により97年度のカンヌ国際映画祭で日本人初のカメラ・ドール(新人監督賞)を受賞した。撮影は「2/デュオ」の田村正毅が担当している。主演は新人の尾野真千子と柴田浩太郎。ロッテルダム国際映画祭国際映画批評家連盟賞受賞作品。97年度キネマ旬報ベスト・テン第10位。16ミリからのブローアップ。
(ストーリー)
奈良県西吉野村。林業低迷で過疎化が進むこの村で田原孝三(國村 隼)一家も代々林業で生計を立てていた。
そこに、鉄道を通すためのトンネル工事計画が持ち上がる。鉄道に対する人々の思いは切実で、孝三自身も自らの夢をかけてトンネル開通作業に携わる。孝三の母・幸子(和泉幸子)、妻の泰代(神村泰代)、姉の残していった子供・栄介(向平和文)、そして愛娘・みちる(山口沙弥加)に囲まれた、つつましやかながら幸せな生活は静かに過ぎていった。しかし、工事は中断され、トンネルは無残な姿で取り残される。
15年後、孝三は働く気力をなくし、一家の生計は、栄介(柴田浩太郎)の収入に頼らざるを得ない。みちる(尾野真千子)は栄介にほのかな恋心を抱き、栄介は泰代に想いをよせる。ある日、孝三は愛用の8ミリカメラを持って出かけたまま、帰らぬ人となった。そして、一家はそれぞれに村を離れなければならなくなってしまう・・・・・・・・・。