カテゴリ:本、雑誌( 45 )

きんぎょの夢
e0080345_814124.jpg改めて向田邦子ワールドに触れて、「ふ~~っ」とタメ息してしまいました。

真面目に生きてる市井の人々の、こまやかな出来事。ささやかな男女の心の機微を、品よく、端的に、分かりやすく描写したら、右に出る者がいませんよね。

しかも、短編らしく、意表をつく、どんでん返し… 「この人は、出てきた時から既に名人であった」と別格の誉められ方をした噂も分かる気がしたのでした。

きわめて映像的です。「この役を今、演じられるとしたら…」と当てはめてみるのも楽しいものがあったりしてね。

(実際に、ドラマから小説化された模様。調べてみると、彼女の作品を、違う方が、ノベライズしてたのが、少しだけ残念無念)

たしかに、ディテールや人々の距離、温度、習慣、時代的な諸事情、等々は、この時代ならでは。昭和を濃厚に感じてしまいますが(とくに年齢に対する世間や当人の意識! これが、ものすごく異なるのが印象的… みんな、オトナ、だったんですね)決して変わらないものは、人の心… だなぁ、としみじみ。

うんと若い頃とは印象が変わるのも、新鮮な驚きでした。

何なんでしょう。向田文学に触れた、独特の爽快感。
「名作の香り」や「独特の美意識」による心地よさ… なのかな?

「されど健気」としか言いようがない人々の心根と作者の凛とした姿勢に、胸うたれてやまなかったのでした。
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by noho_hon2 | 2010-08-25 08:31 | 本、雑誌 | Trackback | Comments(0)

ミスキャスト
e0080345_8152416.jpgかぎりなく、あのヒット作品。「不機嫌な果実」の男性バージョン

不倫して、すったもんだの挙げ句、その相手とゴールイン
その、華やかで幸福そうな結婚式シーンから、物語ははじまります。

だけど2度あることは3度ある?
やがて、懲りずに、再び浮気の虫が騒ぎだし…

謎の告発電話。新妻への不倫疑惑がもととなり、若い女性(なんと、元妻の姪御さん!)に、ふら~っとなってしまう、40代男性が主人公の、ドロドロと深みにハマっていくオハナシ

えらく、殿方系サービス描写(?)が多いなぁ、と思ってたら、週刊誌連載(「週刊現代」2000年1月から8月まで)作品、だったのですね。な~るほど

(タイトルから、てっきり、女性誌連載の、オシャレな業界モノと「ああ、勘違い」) 

なにげに情報満載ぶり。舞台となった場所や、当時の最先端流行を駆使した部分。
「んまっ、正直な…」な男性心理といい、ふと、渡辺淳一が脳裏を

でも、彼なら、もっと美的でロマンチックに描きそうです (^^;)

その、ちゃっかりさんぶり。最後、容赦なく、お仕置きっぽい結末を用意してるあたり、やはり女性作家の感覚かな?と感じてしまったのでした。男女で、かなり感想が分かれてたのも、えらい納得で

(たしかに紹介でも、これはハッピーエンドか、恋愛ホラーか?とされてますもんね)

さすがは人気作家さん(林真理子)の作品です。興味深かったけれど、駆け引きの裏側心理。やや身も蓋も無くて、ちょっと疲れました。

現在。精神的体力が、やや弱々傾向なので、今度、選ぶときは、やはり軽くて柔らかい、明るいものか、脳天気路線にしよう、と改めて、ひしひし (^ー^;)
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by noho_hon2 | 2010-07-15 08:50 | 本、雑誌 | Trackback | Comments(0)

デッドエンドの思い出
e0080345_854531.jpg人は、ふとしたタイミングや流れで、とても切ない状況になることがあって、だけど、どんな場合でも、輝く何かがある、をテーマに繊細でやわらかなタッチで描き出した(?)作者、渾身の短編

実際、作者あとがきによると出産を前。とても、心身がしんどい時に自身へのエールを込めて書かれたもの、ですってね。「小説家になって良かった。これまでの作品で1番、好き」というのも、分かる気がして

なるほど、“本当の癒し”がある作品とプッシュされててたり、実際に失恋直後に読んで、思わずボロ泣き、ってネット経験談があったのも、納得です

オハナシは、毒殺されそうになったり、婚約までしてた相手に去られた、まさに決定的瞬間に遭遇し、そして… だったり(表題作)、無理心中やレイプが登場したり、むしろ暗い要素が多いのですが、うけとめて肯定しつつも前向きな姿勢に励まされます

個人的には幽霊屋敷をカップルで懸命な御飯づくりで鎮魂する「幽霊の家」なんか好きだったナ。表題作や「おかあさーん!」もフィニッシュが良かったです

負を扱うからこそ「それなりの救いと、ある種の輝き」がスポットライト効果?!

若い頃の勢いあふれる、まっすぐな作品も素敵ですが、歳月と経験を重ね「どんなものごとにも、いろんな要素が混じってる」と知った上で、その感情の揺らぎ等も、繊細に選び抜いた言葉。熟練の筆で、温かく語ってるのがイイなぁ、と感じました

文章ならではの物語を堪能
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by noho_hon2 | 2010-04-16 08:37 | 本、雑誌 | Trackback | Comments(0)

そうだったのか「あ・うん」
e0080345_17292563.jpg個人的に大好きなこの向田作品。少し前に、新聞でとりあげられてたのですが、意外や意外

「自分には分からない」「どちらかというと非」といった、アンチ意見が多いのに目を丸くしてしまったのでした。

私なんか、原作はもちろん、ドラマ版や映画版もヨイなぁ、と感じたし、数ある恋愛小説の中。数すくない、登場人物が結婚してても「コレならマル」な物語なんですがねぇ。秘すれば花、なところが、なんとも味なんだけどなぁ。軸をなす4名のバランスが絶妙だし

人もそれぞれ。感じ方はいろいろだなぁ、と、改めて感心してしまったのでした
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by noho_hon2 | 2009-06-14 17:38 | 本、雑誌 | Trackback | Comments(0)

村上春樹、5年ぶりの新作「1Q84」
e0080345_817594.jpgアマゾンの予約だけで新記録を更新し、書店では、まさに羽が生えて「飛ぶように」売れてるんですってね。

先行発売した都心の大型書店では、レジには長~い行列ができてたとか

本をだすことが、どれほど難しいか
作家になることが、どれほど、はるかな道のりか

やがては、物書きに… な志をもつ、才能あふれるネットワーカーさん達が、それはそれは熱く、想いのたけを言い合ってたエピソードが忘れられません

思わず、しみじみ… してしまったのでした
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by noho_hon2 | 2009-05-28 08:25 | 本、雑誌 | Trackback | Comments(0)

TUGUMI
e0080345_7572423.jpgひさしぶりに、物語世界を「活字で」堪能しました。

ここのところ、「物語は映像で…(ドラマやコミック等)」が続き、文字で味わうことを忘れかけてたのですが、「想像力で自在に…」な醍醐味。脳内の「また、違ったシアターが開かれる」感が、新鮮

市川準がメガホンをとり、牧瀬里穂が主演。ヒロインをつとめた映画版(1990年公開)も、なかなかに味でしたが、映像ならでは活字ならでは… それぞれの持ち味を、再確認

(じつは、あのロケ地。ドラマ版・セカチューでも舞台になった場所なんですってね。ああ、綾瀬はるかの高校生姿も、また見たい!)

ある年齢ならではの、瑞々しい感受性。若さゆえに見えるもの、感じるもの。圧倒的な、物語力と、背景になってる濃厚な海の気配… 実際、この作品は、当時。新進気鋭の大型新人だった、吉本ばななにとって初の長編作品だったそうで、「…なるほどなぁ」。

大ベストセラーとなったのも、分かる気がしました(実際に読んだのは、文庫化され、さらに古本として見つけ… ゆえ、随分、タイムラグがありましたが)

病弱がゆえに、めいっぱいワガママに育てられたつぐみと、彼女をとりまく人々の、一夏の出来事。語り部である、従兄弟・まりあ。その、ちょっと変則ファミリーぶりや、彼女の個性を理解し「まるごと、うけとめる」包容力と心優しさも、じつにヨイです

実際。執筆動機として「この浜辺の時間と空気。今の気分を忘れたくなくて」描いたのだとか。あとがきで述べてる旨によると、つぐみの内面モデルは彼女自身だったそうで… その背景を知るだに「ああ、やっぱりぃぃ!」

やはり、ヒロインの圧倒的・魅力と、不思議なリアリティ。ありあまるエネルギーがゆえの、屈折と意地悪さ。どこか途方もないピュアな感じが共存するさまは、まさに、そのもの?!

じつは根が暗く、否定的であるこそ、せめて表現は、前向きで肯定的に… ってのは、あのしょこたんも言ってたことだけに、なんだか、個人的に感慨無量…

稀代の天才作家。その若さと、初々しいエネルギーが清々しく、はじめての恋が訪れる瞬間なぞ、とても素敵。読後感も爽やかで「ああ、こういう物語だったのか…」
新たな周辺情報もあいまって、ひたひた感動おぼえました。

正直って、彼女の作品をはじめて知ったときは、心の片隅。その話題性の大きさに、プチ反発感。あまりの文章の明快さに「まるで少女漫画のような…」と感じたのですが、今にして思えば、それは大きな勘違い。

それこそが才気であり、洗練だったんですね

また、少女漫画自体。エンタメの王道・直球・ド真ん中。(韓ドラを見よ。国内での映像化は言うに及ばず、各国でリメイクされ、大ヒットした実績を見よ!)
時がたつほど、その偉大さを、しみじみ。

これを機会。また少しづつ、物語系の本も読んでみようかなと (^-^*)
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by noho_hon2 | 2009-04-08 08:21 | 本、雑誌 | Trackback | Comments(0)

名作の新装丁
e0080345_1718593.jpg私だけでしょうか? 最近、本屋さんで、名作の大胆な新装丁と、手書き風POPが楽しいなぁ… と感じてしまうのは

とくに、限定版。松山ケンイチ表紙の太宰作品や

「ヒカルの碁」や「DEATH NOTE」の絵を描いた、小畑健による「人間失格」や、夏目漱石。
なかでも「地獄変」の芥川龍之介像には、「それもアリなのか」と感動

伊豆の踊子」の表紙を「ジョジョの奇妙な冒険」の荒木飛呂彦に描かせる、って意外性。大胆さがヨイです

「赤毛のアン」シリーズの表紙を、吉野朔実に、って組み合わせも素晴らしいし…

その発想と企画力。勝手に表彰したくなってしまうほど

実際、それによって、ものすごく“売れてる!”んですってね。
やはり、数多くの中から「手に取る」のって、きっかけ、ですもん

愛にあふれた、手書き風POPといい…
その意欲、おもわず ((o(^-^)o))
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by noho_hon2 | 2008-07-18 17:37 | 本、雑誌 | Trackback | Comments(0)

ゲドを読む。
e0080345_8395122.jpgひょっとして、表紙の色によって、微妙に企画が違うのかな?

私が、近所の本屋さんで手に入れた「ゲドを読む。」は、黄色バージョンだったのですが、

びっくりするぐらい豪華な執筆陣。大いに読み応えありました。面白かった!です。

映像化にまつわる関係者として、翻訳者として。あるいは、学者、作家、の見地から… がっぷり四つに取り組んだ上で、大真面目に、直感的に、場合によっては、かなりの斜め角度から (^。^;)ヾ

言葉に注目したり、歴史的背景を考慮したり、学術的な知識を駆使したり…
いろいろな角度の斬りクチが、うんと興味深かったです。

個人的には、かなり敷居の高い分野に当たるだけに、恥ずかしながら、映画はもちろん、原作も未読。ゆえに、片鱗にふれられただけでも嬉しかったです。そうかぁ… そういう醍醐味の、壮大なオハナシだったんですね。

それにしても、またまた、糸井重里の発想、および行動力って、改めて斬新!
文庫本サイズのフリーペーパーとは… 一風変わったDVDのプロモーション、なんですってね。

しかも、あくまで「広告媒体のひとつ」と解釈した上で、これだけの豪華執筆陣を揃え、大判振る舞いするだなんて… 「やるぅ」

考えてみると、首都圏ローカルではあるものの、フリーペーパーのR25にL25、大成功!ですもんね

(配布日のスタンドは、係員が梱包をとく作業も、もどかしく、ヒモを外すそば。横からしゅわっち。ほとんど、鯉の餌まき状態… なのだそう)

この動き、いろいろな意味で、興味津々…
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by noho_hon2 | 2007-06-13 08:16 | 本、雑誌 | Trackback | Comments(0)

覇権の標的
e0080345_1714185.jpgあまり大きな声では言えないのですが、経済小説にもハードボイルドにも、ほぼ無縁な私。

だけど… 素朴に、面白かった!です

実際に、きわめて優秀なエンジニアで、世界を股にかけ、活躍されてた阿川さんならではの「実際に見聞きし、感じた」世界が、じつにビビッドに息づいてました。

随所に散りばめられたディテールに「…なるほどなぁ」の連続。

大きな虚構の中で光る、小さなリアルの積み重ね?!

しかし、真骨頂は、あふれるサービス精神… もともと素地のあった、日本人離れした発想と展開。その持ち味が、存分にいかされてた感で、なるほど、快挙! (第2回ダイヤモンド経済小説大賞優秀賞受賞作品) も納得です。

後半は、まるで、ダイナミックな映画を見てるよう。圧倒的・小説の腕力で読者を引き込んでいくパワーにぐいぐいで、読後感の爽快さもマル。

なにより、全体を貫く「心意気!」みたいなものがイイですよね。

きっと、男の人には、たまらないだろうなぁ
この、現代感。スケールの大きさ

華を添える女性も、じつに魅力的だし。

最初は、ネットで(あくまで一方的に)存じてる阿川大樹さんの受賞作であり、世の出た処女小説、という興味から手に取ったのですが、

読み終えると「ああ、むしろ、出版社側が、このような、現代性と豊富な知識。物語力のある書き手を求め、待ちわびてたんだなぁ…」と感じてしまいました。

よく、悩んでるとき、「そんなときは、星空(もしくは、大海原)を見てごらん。なんだか、些細な煩悩なぞ、ちっぽけに見えてくるだろ?」ってなことがありますが、それに似た醍醐味… かも。

「もしも現代。平賀源内が生きていたら、こんな人では?」ってぐらい、とても、引き出しが豊富な方だけに、今後、どのような魅力的な世界を披露してくださるのか、

これからの快進撃が、心から楽しみ楽しみ… (^。^*)
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by noho_hon2 | 2007-05-08 09:10 | 本、雑誌 | Trackback(1) | Comments(4)

キッチン
e0080345_16563197.jpgよく、作家のデビュー作には、「その人のすべてが詰まってる」とさえ極論されることがありますが、改めて読むだに「…言えてるなぁ」。

はじめて、彼女の作品を読んだのは、ブレイクして久しく、さんざん評判をきいたあとだったので、ちょっと反発心というか、プチ意地悪・気分も。

「なるほど、…めちゃくちゃ、読みやすい。人気が出たのもワカルような… “読む少女漫画”といわれるのも、納得だわ」と、感じたのですが

久々に読むと、改めて彼女の、途方もない才気と、初々しさに感動おぼえるばかり。
なんだか、しみじみ… なってしまったのでした。

内側からわきあがる、圧倒的な物語パワー。彼女なりの言語感覚と、みずみずしい感性でもって、的確に記した手腕は、半ば、内なる格闘技のようでもあり、神業的バランス。世界的な評価をうけたのも分かるような気がしました。

ドラマ「結婚できない男」では、「食べる」シーンが、とても印象的に使われていましたが、ヒット作品には、その傾向あると思いません? それは、小説にも通じるような気がします。

深い喪失や絶望感。あるいは、途方もない孤独を前。それでも、わきあがる生命力でもって雄々しく立ち上がっていく姿が、「小説を描く上でのメインテーマである」と、あとがきで彼女自身も言い切ってるのは、大きな意味をもってるように思われて

ことに、テレパシーのように、大きな孤独を受信し、こういう時は、問答無用。ただただ「美味しいものを食べさせてあげたい」という一念から、夜を駆ける姿は、きわめて感動的。同時に、この年齢でしか描けない勢いに胸うたれるものがありました。

ときとして、ある時期、とても共感したものが、時間がたつと、ひどくズレて感じられたり、なんだか無性に古臭く感じたりすることもあるのですが、変わらぬ鮮度に、改めて脱帽。

ふと思い立って「読み返す」のも、なんだか、とても素敵なことですね。
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by noho_hon2 | 2006-09-21 17:59 | 本、雑誌 | Trackback | Comments(0)


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