植物男子ベランダー |
ミニドラマあり、音楽あり。なんだか、不思議な印象の番組でした。
主人公の、ちょっとこじらせ男子を田口トモロヲが好演。
都会のマンションの狭いベランダで植物を自分勝手な方法で育てる孤独な中年男、ベランダー(田口トモロヲ)。「ベランダー」とは男が自分のことを「ガーデナー」に対抗して名づけた名称で、広い庭など持てるはずもないものの、都会の片隅のベランダで、「俺は俺なりに植物を愛し育てるんだ!」とちょっと屈折した気概に満ちた呼び名です。
原作は、いとうせいこうさんの実体験に基づいたエッセイ集「ボタニカル・ライフ 植物生活」と「自己流園芸ベランダ派」。主役にせいこうさんとも縁が深い田口トモロヲさんをお迎えし、あれよあれよという間にベランダという限定空間で展開する一風変わったドラマとして動き出し、2013年秋にパイロット版を2本放送。その後2014年4月にレギュラー放送となり、のべ15本の番組が開花。トモロヲさんの、怪しくも切なく、時に爆発的な超絶技巧の演技が評判となり、お蔭様で一部熱狂的なファンを生むまでになりました。
脚本・演出、そしてエッジのきいた選曲まで一挙に担う異能の望月一扶監督いわく、ベランダーは「植物寅さん」。マーガレット、アマリリス、ワスレナグサ、蓮・・・と次々と新しい植物に、そして花屋の美人店員さん(岡本あずさ)など、時々人間の女性にも恋をするのがベランダー。そしてその恋はどれも決して成就することはなく、植物旅は続くのです。愛する植物を巡ってベランダで右往左往する滑稽な男の姿は、笑いを誘うだけでなく、ちょっと物悲しくもあり、花を通した人生哲学でホロッとさせてくれます。