2024年 12月 30日
『哀しい予感』(1988) |
先日の押入れ整理で片づけた後。「それでも残った作品」のラインナップを眺めてるうち「あ… もう1度、読んでみようかなぁ…」みたいなキモチになりまして、十年近くぶりに読み返してみたら、また新たな感動があったです。
最初は、なまじベストセラーだっただけに、構えて読んでしまい、すると、あまりに平易な文章。少女漫画的世界。さくさくっと読めてしまうのに、拍子抜けしたほど。でも、もう1度、じっくり読むと、誰でも分かる文章に、神業級の言葉選び。ふつふつと感動おぼえた記憶あります。
これがきっかけで(たぶん、最初の文庫化)吉本ばななを読むようになったんですが、のちの、円熟味を増し、文章も洗練されて完成度があがり、売れに売れた作品よりも、個人的には、この作品が1番好き… だから、他にも、結構。そういう方がいらっしゃったのには、思わず嬉しくなってしまったのでした。
な〜んか、才能あふれた若い作家の魂、みたいなものが凝縮してるような気がしてね。(あとがきの「自分の中にあるものを、すべて送り出してあげたい」という言葉がなかせます)
改めて読むと、登場人物が、とても生き生きとしてて、じつに魅力的。たとえば、その想いが「恋に変わる」瞬間の驚きとか、感動とか、気配みたいなものを、とにかく懸命に「言葉に変換しよう」としてる「必死さ」みたいなものが伝わってくるようで。その初々しさが、心を打つのかもしれません。
by noho_hon2
| 2024-12-30 02:49
| 本、雑誌
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