2024年 12月 30日
「ねじまき鳥クロニクル」(1994) |

先に、『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』の方から読んでたので、概要として、大変、興味があったのですが、文庫化を待ち、さらに古書になるのを待つ(こ〜れが、なかなか、お目にかかれないんだなっ!)私は、たいへんに邪道なファンでしょうか?
読後感としては、『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』に似たものを感じてしまいました。
これって、夫婦の喪失に端を発した、ある種の冒険物語、ですよね。それも、きわめて幻想的な… (夫婦と猫で平和に暮らすカップルだったのに、猫が失踪し、妻が蒸発し、なにかの時空が狂いだす。やがて、怪現象が次々と…)
さすがに、ハード・バイオレンスな描写部分は、思いっきり斜めに読み飛ばしてしまったんですが、夫婦の心の軌跡部分は、大いに興味深く感じられました。
河合隼雄とも語ってたですが、作家って、職業自体が“(心の?)井戸を掘る”作業にも似てる、ってのは、分かる気がして。
あと、個人的には、綿谷ノボルの存在が、なかなかに新鮮!でした。世間では、大変に成功を収めて、地位も名誉も築き、尊敬を集めて、人々の影響を与える存在でありながら、主人公には、生理的な“違和感”を発端に、かぎりなく、巨大ブラックな存在として描かれる彼って、新タイプの敵役として、斬新だったなぁ…
いつも感じてしまうんですが、すぐれた表現者は、ほんにシャーマン、ですよね。常に“半歩先の空気”、みたいなものを予見してます。
by noho_hon2
| 2024-12-30 08:40
| 本、雑誌
|
Trackback
|
Comments(0)