2009年 03月 22日
ありふれた奇跡 最終回 |
山田太一ドラマらしい、さわやかなハッピーエンド。ディテールに味わいと余韻、ユーモアストーリー中盤。悩める加奈(仲間由紀恵)が翔太(加瀬亮)に投げかけた台詞じゃないけれど「ゆっくり分かって欲しい」な心を感じました。
思いがけず、預けられた赤ん坊。短い時間とはいえ、「放っておけない」気分から、突然。ベビーちゃんの面倒をみる羽目になった経験は、その誠実で賢明な対応。お互いの「良さ」を再確認する意味で、若いふたりに、むしろ関係を前進させる力を与えました。
ふと、魔が差した瞬間もあったかもしれないけれど、お母さんが戻ってきてヨカッタ。
加奈の「私は信じたいの」な心が通じて、本当にヨカッタ!
相談した藤本(陣内孝則)にとって、若い母子の存在が、“生きる張り合い”になりそうな、明るい余韻。しかも、それが冒頭に登場した河畔で… ってあたりも、心憎いですよね。「私はひとりではない」が心にしみます。
個人的には、ついに、ふたりの結婚が決まり。それぞれの家族が一同に介した、食事シーンが、うんと印象的
戦災孤児で苦労した経験から、意固地だった、翔太の祖父。四郎(井川比佐志)と翔太の祖母(八千草薫)の台詞に、山田太一のメッセージと、この物語に託したキモチがあったのかな、と感じました
戦争を知ってる方の視点。そこから見た現代のビジョンが、うんと新鮮…
「ありふれた奇跡」は、世代や事情を超えて、たとえば家族が、少しうとましく思いながら、場合によっては、すれ違ったり、衝突しながら、「共に暮らす」ことの機微…
(これが終盤。職場の神戸(松重豊) 家族と暮らす意味ともフィードバックしてる?)
あるいは、ふと縁があった他人が、むしろトラブルや困難に関わることで、負の要素が、正に変わる、世の摩訶不思議を描きたかったのかな?
どちらかというと、ドラマにならない人々… 不器用だったり、ジレジレしてたり、はみだしてる人々にスポットを当てて、丹念に描いてるのが好印象でした。
絵として“笑いどころ”でもあったけれど (^ー^;)ゞ 日頃、しがらみ鎧をきてることへの窮屈さ? そこから解放される密かな趣味。女装がやめられず、「内緒にしておきましょう」と相談する父親達。私は愛しかったなぁ…
評価は分かれそうですが、好きな作品でした
このドラマを描くにあたり、山田太一が対談してる番組等々が、すっごく面白く、興味深かったので、現代の賢者として、今後も、なにかの形で発信して欲しいキモチ、ひしひしです。
by noho_hon2
| 2009-03-22 11:11
| ドラマ
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Comments(4)
私は天下の山田太一に対して大変失礼な事ですが、なんて下手糞な脚本だろうと思いながら、加奈と翔太がどうなって行くのかが気になり我慢しながら見続けたドラマでした。
しかし、最終回は流石に良い話でしたね。
しかし、最終回は流石に良い話でしたね。
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バンガードさん、こんにちわ。分かります分かります、そのうむむ感!
実は私も、この斬りクチに、このテンポ? ジレジレな展開と、ゆっくリズム。これだけ、いろんなものを“読めてる”方で、腕もあるのだから、なぜ、今風ティストで熟練の腕を披露。ダイナミックに打ち上げ花火しなかったのかなぁ?と不思議だったのですが、最終回まで見ると、むしろ意図的だったのかな?と感じてしまいました。ある意味で「トライアングル」と、ベクトル的に対極だった、かも。余韻を、じっくりと味わいたい気がするのでした。
実は私も、この斬りクチに、このテンポ? ジレジレな展開と、ゆっくリズム。これだけ、いろんなものを“読めてる”方で、腕もあるのだから、なぜ、今風ティストで熟練の腕を披露。ダイナミックに打ち上げ花火しなかったのかなぁ?と不思議だったのですが、最終回まで見ると、むしろ意図的だったのかな?と感じてしまいました。ある意味で「トライアングル」と、ベクトル的に対極だった、かも。余韻を、じっくりと味わいたい気がするのでした。
凄く意外でした。
私は、「何を言っているんだ、こいつは!あのシナリオの良さが分からんとは!」と怒られると思っていました。
確かに最終回を見ると、仰るとおり意図的だったかも知れませんね。
最後のまとめ方は本当に良かった。
これが本当に救いでした。
私は、「何を言っているんだ、こいつは!あのシナリオの良さが分からんとは!」と怒られると思っていました。
確かに最終回を見ると、仰るとおり意図的だったかも知れませんね。
最後のまとめ方は本当に良かった。
これが本当に救いでした。
いえいえ、いろいろな意見を読むのが楽しいので、アンチに辛口、大歓迎ですぅぅ>バンガードさん。ネット評的には、むしろ藤本(陣内孝則)が心に響いた方が多かったのも「…なるほどなぁ」と感じてしまいました。かなり減量してまで役作りにのぞんだ甲斐ありましたね。ヨカッタヨカッタ。やはりドラマは、どこかに救いと明るさがあるのがヨイですね。思わず、しみじみ (^ー^*)

